絶対可憐チルドレン

漫喫で椎名高志の短期集中連載をあらためて全話読んだ。第一話はセンターカラーで一応プッシュ。サイコ漫画というありふれたテーマであるものの、既存のバトルや鬱描写がメインのオタ臭い漫画とは異なり、漫画単体として面白い。超能力者の念度を地震よろしく7段階で現したり、敵対集団「普通の人々」のメンバーが「渡る世間は鬼ばかり」の幸楽の面々だったりと、小ネタが楽しい。しかし、椎名の持ち味である小ネタは、あくまで売れないお笑い芸能人的B級ギャグであるため、好事家(=サンデーやチャンピオンを好んで読む輩)には強く支持されるが、一般読者には逆効果だと思う。また、このノリが歴代椎名漫画のキャラクターを薄っぺらいものとし、設定は面白いのにイマイチ親しみが持てないという致命的欠陥を生み出している。「GS美神」においては、主人公・美神は親しみの持てるキャラクターとはいえなかったし、横島にしろ、おキヌちゃんにしろ、Dr.カオス&マリアにしろ、コアなファンはついても一般ウケキャラするとは言い難かった。読切作品や連載作品の初期では光るものがあるのだけど、長期連載になると既存読者には飽きられてしまい、新規読者は敷居が高いものとなってしまう。また、ベタの使い方など、絵もそこそこ上手いと思うんだけど、一世代前の画風であるため十代の読者には溶け込み辛い。多分このことは編集部も理解していて、非常に面白い世界観であるにもかかわらず、短期連載のアンケート結果次第というカタチをとったのだろうが、残念だけれども週刊サンデーで成功するとは思えない。
単純にヤングサンデーあたりに移籍すれば良さそうな気もするが、小学館の青年誌は他出版社に比べて大人の読み物であるために椎名の作風とマッチしない。作風を変えることができるなら既にしているはずなので無理である。一般ウケしないとはいえ面白いことには変わりないから、メジャー誌ではなくオタク誌での連載が作者にとっても読者にとっても望ましい気がする。サンデー二軍誌かIKKIあたりで落ち着けば連載誌の部数の牽引役になると思うよ。
私的サプライズ人事としては「小学五年生」「小学六年生」がベストだと思う。月刊で12話完結確定なので中だるみ無くキャラの薄さもカバーできる。12話で単行本一冊の中編。単行本はそこそこ売れると思う。人気が出れば翌年も連載すればよい。読者は小学校高学年でB級ギャグでも通用するお年頃、コロコロ世代のサンデー系列雑誌への橋渡しとしても機能すると思う。長期連載になれば「まんがサイエンス」的なポジションを得れるかもしれないしね。活かすも殺すも編集次第だと思うが、どうだろうか。