ベンチャー企業のススメ。
先日、ヘッドハンティング（？）の申し出を受けた社長に、ただ断るのも申し訳ないので、後輩を紹介することにした。紹介する彼は、長く私の右腕としてサークル活動を支えてきた経験があり、会員をモノのように扱うと恐れられている私の分析においても、知徳とも社会で十分通用すると踏んでいる。しかし、ネトゲ廃人だわ、就活はしないわ、卒論は二日で捏造するわ、病気持ちだわ、親とはガチンコだわ、大学にはサークルの日しか来ないわの、超現代的な青年。バイトや資格勉強すらしていないなんて、往時の私以上であることは否めないが、彼をこんな風にしてしまった責任の一端は間違いなく私にあるので、なんとか条件のよい職に就かせたいと切に願っている。私は先方の社長に絶大な信頼を抱かれているらしく、あれよあれよという間に、採用前提の面接という運びとなった。当初は最寄の駅前で軽く食事でもしながらという話だったのが、急遽、丸ビル待ち合わせに変更となり、VIPな焼肉屋に招待された。丸ビルだなんて、それこそ一生縁の無い世界なので*1二人ともマジで焦った。焼肉の後は銀座のワインバーにタクシーで連れて行かれて恐縮。先方社長＆取締役と2対2で様々な話はしたものの、面接というよりは接待という感じだった。彼らによると年収800万は堅いらしい。私は保護者というより第三者なので、純粋にビジネスモデル*2や将来性などで疑問に思ったことをガンガン突っ込んだけどね。その後、後日改めて面接ということで、タクシー代まで戴いて帰宅。私は、単に金回りのよいベンチャーの社長ってスゲーなぁと思っていたのだが、当事者の彼はあまりの大風呂敷に日和気味で、正直「働いたら負けかな」とか嘯いていたけど、このようなチャンスはそうそうないので、腹を括るものだとばかり思っていた。
翌日、彼から面接辞退の窺いがあった。「具体性に欠ける」「いきなり接待だなんて信用ならない」「こんな旨い話があるわけはなく、絶対、詐欺か犯罪組織が関わっている」。私も言われてみれば少しは怪しいかな*3と思って、社長や関連会社について色々調べてみる。調べてみたところ、社長のイベント興行実績と社長の実家の会社は確かだったが、当の企業がIT企業であるにも関わらず、そのHPがあまりにもやる気がない（というか、素人が作ったダミーサイトのようにすら見えた）。社長の出資者であるという関連会社も確かに存在したが、電話会社といいつつも、何故か先物取引や出会い系サイトでその名を見かけた。しかし、先方が私達を騙すメリットも必要性も感じられない。面接で伺った話をもとに私が想像するに、中期的には手堅くイベント開催を手掛けるとともに、短期的には出会い系の課金システムや、大人の玩具・ランジェリー・健康食品など怪しげな通販システムと、そのサイトを構築して稼いでいる企業ではないのかと思った。これなら、金回りがよく、具体的ビジネスモデルを呈示できず、かつ大っぴらに採用活動ができない理由も納得がいく。本当のところは、よくわかんないけどさ。
彼には学校の就職課に相談するよう*4に言ったのだが、（保守的で責任問題発生をとにかく恐れる）就職課が止めることは予想していたが、そんな怪しげな会社を紹介する先輩（＝私）自体がどうかと思うと叩かれたらしい。それで代わりに紹介するのが派遣ソルジャーだからな、なめんな。保守的な業界の人事課ややる気のない学校法人の就職課の言うことなんて、全く信用ならん。俺みたいにリスクとリターンをはっきり提示した上で、自己責任で本人に選ばせろといいたい。大樹の陰に隠れてもやる気と実力次第で収入や地位に反映されると思ったら大間違いだ。規模が大きく保守的な組織ほど、キャリアとノンキャリの差は超えられない壁となる。我々の人生の最終目標とは、左団扇なネオニートとしていかに早く若隠居を決め込み趣味に生きるかである。この企業で、実際問題となるのは機密保持と社会的ステータスと超激務ということくらいだろう。ためた資金を元手に不動産や株取引をするより、違法ではないし、年収はとても高いし、コネがないとそもそも入れない、このようなスキマ産業のほうが効率よく稼ぐことができ、私ならむしろ喜んで飛び込む。というか、どんな企業だったとしても、私の白黒付ける几帳面な性質と脅威の行動力を買われてのドラフト指名であることには変わりない。結局、後輩の彼は断ってしまったが、私の体が二つあったらなぁと、今でも少し残念に思っている。周囲には、五年後の年収で俺理論がより正しい*5ことを証明したいと思う今日この頃。
それから、彼には安定職に就いてもらわないと、来年度の萌アニ編集長が空席→私が現場復帰となりかねないので非常に困る。流石に、ベンチャー戦士をやりながらサークルのトップをふたつ掛け持ちするのは不可能だ。
