社買い人 岬悟

スペリオールで、殺伐とした平成日本を描く、国友やすゆきの鬱漫画がまた始まった。「金が泣いている」とノリは全く一緒。第一話からして、M&Aが原因で、情に厚く仕事もできる主人公が、仕事はできないが人間味のある部下に引導を渡すことに。その部下の駄目っぷりに周囲は以前から心配していたのだが、部下は「努力はしても(仕事はできなくても)しょうがない。周りと上手くやっていければOK」みたいなことをいって開き直っていたから後味が悪い。一人葛藤していた主人公は、これを聞いて腹を括り斬首。部下は「信頼していたのになんで守ってくれなかったのか」と逆ギレ。これが部下の結婚式当日で、主人公は仲人だったっていうんだから、エロ過ぎる。
スピリッツの「DAWN」とは、あらゆる意味で対極に位置する。両者とも勝ち組ホワイトカラーがメイン読者という点では同じだろうけど、「DAWN」がドリームというかカタルシスを小気味よく描く作品*1であるのに対し、本作品は楽してオイシイ思いをしている者*2を断罪する作品のようで、(例え、誰からも好かれて、世渡り上手であっても)仕事のできない人間は絶対悪という哲学を見せつける、不快指数一万とんで百な漫画。それでも、平成不況の洗礼を受けた20代就活戦士達は、(俺含む)相当数がこの思想に染まっている。もう日本型の社会の維持どころか再構築も不可能だろう。マネーIQサイコウ。
つーか、都知事はこういう本こそ有害図書に指定しろ。

*1:ある意味、現実逃避

*2:バブル入社世代?